第44回: マレーシアの不動産大家の権利
■ 特集『マレーシアの不動産大家の権利 』━━━━・・・・・‥‥‥………
本業の傍ら、マレーシア人も副業として不動産大家になることが流行っています。
しかし、ここ最近、テナントとトラブルになるケースが増えていて、マレーシアで物件を賃貸する上でいくつか注意しなければいけないことがあります。
マレーシアの場合、日本とは違い、不動産の賃貸借に関する法制度よりも、基本的には家主とテナントの権利は、双方が合意した賃貸借契約書がベースになります。
また、誰もが使う一般的な賃貸借契約書というのはなく、家主とテナントの条件によって賃貸契約書が異なるため、十分注意して作成しなければいけません。
ここで、家主が自分たちの権利を守るために知っておくべき点をいくつかご紹介しましょう。
1.物件の保存と原状回復
まず、賃貸契約書に、退去する場合の原状回復と保存行為について家主の権利が保護されているか確認しなければいけません。
多民族国家のマレーシアでは民族によってそれぞれ習慣が異なるため、テナントが都合がいいように勝手に物件を改装工事をしてしまうことがよくあり、賃貸契約書に「家主の書面による事前承認がない限り、賃貸物件の内装外装に関わらず改装することを禁止する」という条件をいれておかないと大変なことになります。例えば、オーナーの承諾なしに躯体をいじって壁をぶち抜いて部屋を一つにしてしまったというケースもあるので、十分注意しなければいけません。
原状回復についても日本では家主の当然の権利として、経年劣化以外についてはテナントに請求できるようなルールになっていますが、マレーシアではそれを謳う明確な法律がなく賃貸条件として契約書に記載する必要があります。
また、賃貸契約時に敷金をテナントから受領する場合も日本のように一般的なルールはなく、家主とテナントの条件交渉によって決まるため、万が一、テナントが賃貸物件に改装工事したことで生じた損害を敷金から充当させるという条項を賃貸契約書で明確にしておくことが重要です。
2. 家賃滞納時の対処法
次は、テナントが家賃を滞納し、家賃回収ができなくなった場合についての家主の対処法です。
マレーシアの法律上、家主はテナントからの家賃の回収不能になった場合、裁判所の命令なしで立ち退きさせることできません。
この点については日本同様テナント保護はされていて、家主が独断で立ち退きさせることはできません。ではこうした場合家主はどうするかというと、回収不能になったテナントの水と電気の供給を止めてしまいます。
マレーシアでは、家主が電力会社や水道局と直接契約し、テナントは別途光熱費を家主に支払うことが一般的で、賃貸契約書にもその旨を記載しているケースが多いです。
多少強引なやり方ですが、これがマレーシアの不動産大家の家賃回収の対処法といわれています。
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