第9回: マレーシアの洪水対策

マレーシアの洪水対策


今年は日本でも大きな災害があり、世界中で起こる自然災害のニュースへの関心が高まりました。


5月から降雨に加え、9月下旬から10月上旬にかけて記録的な大雨を原因としたタイの大規模な洪水は首都バンコクで深刻化していて経済に与える影響も大きそうです。
タイ国内では洪水対策を後手に回していた政府の対応について一部非難が集まっています。


今回のタイの洪水発生以降、「マレーシアは洪水は大丈夫ですか?」とよくご質問をいただくようになりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、実はクアラルンプールは大規模な洪水対策を行っています。今回はクアラルンプールの洪水対策についてお話したいと思います。


熱帯雨林地域のマレーシアは雨が多く、ゴンバック川とクラン川が合流している場所から発展したクアラルンプール(マレー語で「泥が合流する場所」の意)市内は以前は洪水が絶えませんでした。


道路が冠水するたびに首都機能の停止、ひどい交通渋滞に悩まされていた市は、マレーシア政府、クアラルンプール市及びSMART社による共同事業により、総工事約20億リンギ(当時約570億円)をかけて世界初の洪水防止用自動車トンネル「SMARTトンネル」を2007年に完成させました。(SMART:Stormwater Management And Road Tunnel)


全長9.7キロ(世界で最長な多目的機能トンネル、東南アジア最長・アジアでは2番目長い洪水防止用トンネル)のこのトンネルは降水時のクアラルンプール市街地の冠水を郊外の貯水池に送る役目を果たすだけでなく、3層構造になっていて、上の2段は渋滞解消のための約4kmの自動車道路となっています。
市街地から郊外方面への道路が1層目、郊外から市街地に向かう道路が2層目、そして一番下が水路です。大雨時には道路部分を閉鎖して、上流のクラン河から許容量を超えた水を取り込み、3層全体で排水を行います。その貯水量は300万m3もあり、クアラルンプール市の計画洪水防止能力の約45%を賄うそうです。


SMARTトンネルについてご興味ある方はこちら(http://www.smarttunnel.com.my/index.asp )から確認できます(英語サイト)。

ちなみに「マレーシアとタイでは気象条件が全く異なり、タイのような深刻な洪水被害はマレーシアでは発生しない。だが、雷雨にともない瞬間的に降雨量が増加し排水処理が追いつかず洪水が発生することもある。このタイプの洪水は突然やってくるので、十分な注意が必要だ」とマレーシア気象局の主任広報官が10月22日発言しています。



11月のツアーでは、残念ながらこの道路を通行する予定はありませんが、魅力ある物件をご紹介すべくただいま必死に(笑)ソーシング中です。
お申込みがまだの皆様、ぜひ奮ってご参加ください!
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