第71号:6億人の自由貿易市場。なぜ、ASEANが注目されるのか?

特集: 『なぜ、ASEANが注目されるのか』  ━━━━・・・・・‥‥‥………



ASEANは現在、6億人の自由貿易地域をめざし、ASEAN経済共同体(AEC)を創設しています。今回は、「なぜ、ASEANが注目されるのか」をテーマに、日本人が享受できるASEANビジネスの可能性をご紹介します。


まず、そもそもASEAN経済共同体(AEC)とはなにか。
これは、2015年中加盟国すべてが域内の関税を撤廃することで、EUを上回る6億人規模の自由貿易地域を作ろうというものです。世界金融危機後、先進国が軒並み低成長にあえぐなか、ASEANは年平均5%を超える成長を遂げていきました。加盟国の半数以上が、中所得国・高所得国となり、購買力をつけた中間層の台頭で消費市場としての発展も期待されています。

こうしたなか、域内経済一体かを進展させる取り組みであるAECは、紆余曲折はありましたが、ASEAN6カ国(インドネシアシンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ)は2002年に関税を5%に引き下げ、2010年に域内関税を撤廃しました。また、後発4カ国(カンボジアミャンマーラオスベトナム)についても、段階的に関税が削減されており、2015年には一部品目をのぞき、域内関税を撤廃する予定です。こうして、ASEANでは関税のない自由貿易地域が完成しますが、それだけにとどまらず、サービス貿易・投資の自由化、さらに基準の調和や相互承認を進めることで経済統合を進化させる意向です。



ASEANの市場規模とビジネス環境ASEANでは工業化による経済発展が着実に進展していますが、国別に見ると、その進展度合いは二極化しています。

先行国(シンガポール、マレーシア、タイ)
直近の第2次産業の就業者一人当たりGDPを概算すると、シンガポール、マレーシア、タイでは1万4000ドル以上となります。シンガポールは、所得水準の上昇が他国より早く、第3次産業の発展が先んじて始まりました。


後発国(インドネシア、フィリピン、ベトナム一方の後発国はというと。。フィリピンは政情不安から直接投資が流入せず、工業化が遅れました。2012年時点で、後発国の直接投資残高は、先行国の3分の1以下に留まります。この差は、海外からの直接投資の累積規模の差によるものです。しかし、ここ数年で後発国にも資金が流入し始め、経済が急成長しています。世界的にITサービスの海外委託が活発するなか、近年の政治安定もあって、米国などの委託が増加し、第3次産業が発展しています。



それでは、ビジネス環境面はどうでしょうか。国際ランキングで先行国の3カ国を見ると、それらのビジネス環境は、日本よりも上位であることが分かります。

ソフト面(ビジネス環境)
1位 シンガポール 6.4点
12位 マレーシア 5.5点
18位 タイ    4.5点
24位 日本    6.0点



ハード面(道路等のインフラ環境)
インフラ環境は、シンガポールは日本以上に高い評価、マレーシア、タイは日本よりやや低いものの、ASEAN諸国の中では整備が進んでいるといえます。例えば、タイの鉄道インフラ整備、マレーシアのマレー人資本を優遇する制度の改革などが挙げられます。2010年に採択されたASEAN連結型マスタープラン(MPAC)は、大型インフラ整備(ASEAN高速道路網やシンガポール昆明鉄道の完成、東西経済回廊の完成、メコン・インド経済回廊の開発など)に加えて、物品・人の自由な移動を促すための制度を整備する内容となっています。
一方、後発国を見ると、ビジネス環境、インフラ環境ともに中国以下であり、先行国に比べて投資環境の整備が遅れています。先行国も、より高い工業化実現のために、さらなる制度やインフラ整備を進める必要があります。



ボリュームを狙うなら、マレー系、富裕層を狙うなら華僑系。ASEANの消費市場において、ボリュームソーンを狙うならマレー系民族がメインターゲットですが、富裕層を狙うなら華人がメインターゲットです。日本企業が、小売り・流通分野に市場参入する際は、華人財閥とのアライアンスが不可欠となるケースが多いです。中国はASEANにとって、輸出・輸入ともに最大の相手国になりました。ASEANの国別に見ると、主要国の輸出先としての中国のシェアはおおむね10%前後です。他方、中国からの輸入シェアを見ると、ベトナムは26%と大きい一方、シンガポールは10%と国ごとに差が見られます。工業化が進展しているマレーシアやタイでは、中国向けに工業品の輸出が多い一方、ベトナムインドネシアは中国から工業品が多く輸入されています。


富裕層華人の割合華僑系 マレー系
シンガポール(74%)13%
マレーシア(25%) 67%
フィリピン(数%)大半がマレー系


中国から見た貿易相手国としてのASEAN輸出の割合は、2000年の7%から2012年の9%に高まり、輸入も8%から11%に高まりました。マレーシアやタイなどASEAN諸国で作られた部品・半加工品などが中国に輸出され、中国内の工場で組み立てられて世界中に輸出される構図となっています。



消費拡大から卸・小売業の進出も多い非製造業についてみると、投資残高は4兆円で、製造業とは異なり、特定業種の投資割合が大きくなっています。最も割合が大きい業種は金融・保険です。(40%)
ASEANに進出する日系企業の増加から資金ニーズが高まり、外資系企業の投資規制緩和とともに金融機関は積極的に進出するようになったと考えられます。卸売り・小売業の割合が大きくなっています。(29%)

経済成長による所得水準の上昇や規制緩和の進展を受けて、日系小売りメーカーや商社による進出がここ数年、急増していることが背景にあります。ASEAN諸国では、経済成長とともに中間層が謳歌しており、最終消費市場規模が徐々に拡大しています。これに伴い、食料雑貨店販売額に占める近代店舗(大型デパート)の割合が高まり、シンガポール・マレーシアで半分以上、タイでも半分弱を占めています。外資系企業の投資規制緩和が近年、進展して来たこともあって、日系企業の進出が増えています。


そして、今後の不動産マーケットと投資戦略は。。。



続きは、次回以降のブログにてご紹介します。



■ お 知 ら せ #1 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【タイトル】 第34回マレーシア不動産投資クラブ勉強会 「中国資本でマレーシアに何が起きているのか。大化けするイスカンダル商業プロジェクト(大阪)」

【日時】: 2014年4月27日(日) 13時00分〜15時30分(終了)  個別相談 16時00分〜 

【場所】: 大阪市西区北堀江1-18-19 シバタハイツ1階(Hair&Make「STARS」内) SMG会議室

【費用】: クラブ会員2,000円  メール会員・一般: 4,000円 

【定員】: 10名


▼ご参加希望の方はこちらからお申込みください。▼
https://sites.google.com/site/malaysiaam/workshop

また、勉強会終了後、個別相談を受け付けております。


■ お 知 ら せ #2 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【タイトル】 GW特別キャンペーン 無料視察ツアー&ガイドのご案内!

【日時】: 2014年4月末〜5月10日まで

【場所】: 現地スタッフが、滞在先ホテルまでお迎え致します

【費用】: マレーシア ジョホール(無料) フィリピン マニラ(無料)、
 ※マレーシア クアラルンプールの視察ガイドは、通常価格の半額(5,000円)にて承ります。

【定員】: 5名


▼ご参加希望の方はこちらからお申込みください。
https://sites.google.com/site/malaysiaam/schedule


■ お 知 ら せ #3 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【タイトル】 海外不動産と税金 Vol.1 (基礎編)

【日時】 2014年4月30日にいよいよ発売! 

【詳細】 

『海外不動産と税金 Vol.1』 確定申告準備(基礎編) [DVD]

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